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ペスタロッチ 1/5

おとなしくても、しんの強い子

 「子どもには、やさしく接してやらなくてはいけない。心から信じて、あたたかくみちびく態度が必要だ」

 深い愛情をもって子どもを育てた、ペスタロッチの思想は、現代の世界の学校教育にとり入れられています。

 18世紀ころのヨーロッパの学校は、先生が子どもに一方的に知識を伝えるだけの場所でした。子どもたちに生まれつきそなわっている才能をのばすことや、先生と生徒の心のむすびつきなどは、あまりたいせつにしない教育がおこなわれていました。ペスタロッチは、このような教育に反対して、新しい教育方針をうちたてた人です。

 ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチは、1746年1月12日に、スイスのチューリヒで生まれました。医者をしていた父は早く亡くなり、少年時代のペスタロッチは、神を深く信じる母と、忠実な召し使いのバーバルに育てられました。

 はたらき手のいないペスタロッチの家には、お金が入ってきません。わずかなたくわえだけが頼りでした。だから、母は節約を心がけ、服やくつがいたまないように、ペスタロッチを、家の中であそぶようにしつけました。

 部屋にとじこもってばかりいたペスタロッチは、もの静かな、おとなしい子に育ちました。

 「外であそばないハインリヒは、弱虫にきまっているさ」

 からだが小さいうえに、学校へ来てもあまり友だちと親しくしなかったペスタロッチは、よく、みんなにからかわれましたが、どんなにひどいことをいわれても、じっとがまんしました。でも、決しておくびょうな子どもではありませんでした。

 ある日、学校で授業をうけていると、突然、大きな地震がおこりました。みんなはあわてて、先を争って外へ飛びだしました。ころぶ子もいました。小さい子はおどろいて泣きだしました。ところが、一人だけ落ちついて、ころんだ子を助け、泣く子をはげました生徒がいます。いつも、弱虫だと笑われていた、ペスタロッチでした。


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